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お知らせ

【事例紹介】関係人口とSDGs人材を育む

REPORT / 2023.05.25

今回は、地域×SDGs×探究の教育旅行プログラムを提供する、うるまのまちづくり会社(プロモーションうるま)の活動をご紹介いたします。

一般社団法人プロモーションうるま
理事/地域づくり事業部長 田中 啓介さん

■プロモーションうるまについて

 プロモーションうるまは、「100年後のうるまをつくる」を事業コンセプトに、地元の人と共に郷土愛をもって、うるまを活性化するまちづくり会社です。

 下記の3つの柱のもと、幅広い事業を推進しています。

うるま市民のQOLを育む

 うるま市民の生活の質や幸福度を高めることを目的とした、「食」「健康」「産業」「教育」「生きがい」等の様々なテーマに応じた、市民を対象とした取組。(例:専属トレーナーが常駐、プールやフィットネスセンター・スタジオプログラムが充実の健康福祉センターの運営など)

うるまの豊かな関係人口を育む

 うるま/沖縄の未来を共に育む、共感ベースの仲間/同志を1人でも多く増やすことを目的とした、「ワーケーション」「地域回遊型イベント」「教育プログラム」等の、市外からうるまを訪れる方を対象とした取組。(例:廃校を活用した宿泊滞在型ワーケーション拠点施設の運営など)

うるまの取り組みを沖縄県内にひろげる

 うるまで培った経験やノウハウを、沖縄県内の他地域へ横展開することで、沖縄の豊かな未来づくりに貢献したいという考えのもと、県事業の受託や、県内の様々な取組への参画を実施。(例:県内各離島の地域コーディネーターと連携したワーケーション事業の企画運営など)

 今回は、「②うるまの豊かな関係人口を育む」の取組を中心にご紹介します。


■地域×SDGs×探究の教育旅行プログラム うるま Quest Journey

 「うるま Quest Journey」は、うるまにおいて様々な社会課題や地域活動に取り組む地域人材と出逢い、志やライフストーリーに触れる、全く新しい教育旅行プログラムです。

 従来の修学旅行プログラムは、多くの場合アクティビティ等の体験が主目的です。プロモーションうるまは、観光資源の在り方を変えたいという考えのもと、「誰かに会いに行く」ことを目的としたプログラムを開発し、参加者も地域も共に「持続的に」幸福になれる観光を追求しています。子どもの居場所づくりや耕作放棄地の復活など、SDGsのリアルな現場を体験し、地域人材との対話を通して、自身の生き方・あり方の探究を深めていくことを目的にプログラムが設計されています。

 この考え方は、修学旅行に留まらず、企業研修やワーケーションのプログラムにも応用されています。ワーケーションについては、「work(仕事)×vacation(休暇)」という一般的なスタイルではなく、「work(仕事)×co-creation(共創)」を掲げ、地域企業や個人との出逢いから新しい価値創造に資するプロジェクト創出を目指して、後述のHAMACHŪを拠点に、様々なプログラムを仕掛けています。

 SDGsと聞くと、世界で起きている問題をイメージして、自分自身とは少し距離を感じてしまうケースも少なくありませんが、本取組は、SDGsに繋がる地域のリアルとそこに向き合う地域人材の生の言葉から、SDGsを自分ごと化することに寄与すると思われます。沖縄や日本のことはもちろん、世界の一員として何ができるかを考える機会になっており、「SDGsに取り組む人材」の育成に繋がっていると考えています。

写真:「うるま Quest Journey」に参加した、修学旅行生の様子。
うるま市内で自然農を営む女性農家さんの畑で、堆肥づくりや農作業を体験した後、ライフストーリーを聞いて農家さんが抱える課題に対するアイデアを共創するワークショップを実施した。


■滞在型・共創型のワーケーション拠点施設 HAMACHŪ

 「HAMACHŪ」とは、2012年に廃校となった、うるま市の浜比嘉島にある旧浜中学校を活用した、ワーケーション拠点施設です。コワーキングスペースやレンタルオフィスといったワーキングエリアに加えて、長期滞在も可能なドミトリーや共同キッチン、さらには利用者と地域を繋ぐコミュニティ・マネージャーが常駐し、「うるま Quest Journey」と同様に“地域と出逢う”ことを促しながら、島の暮らしと生き方の探究が混ざり合う場になっています。

 「HAMACHŪ」には地域のお母さんがキッチンに立つカフェが併設され、地域住民も利用できる「地域のリビング」のような空間づくりが試行されています。ライターとして活躍する利用者がうるま市の行政事業において業務を担当するといった事例や、複数の利用者が地域住民の家庭菜園で定期的に草取りのお手伝いをするといった事例も生まれており、いわゆる関係人口/活動人口の創出にも繋がっています。

「HAMACHŪ」Webサイト URL:https://hamachu-uruma.net


■うるま市から沖縄県全体の活性化へ

 うるま市内に留まらず、沖縄県全体を活性化するために、プロモーションうるまでは、「③うるまの取り組みを沖縄県内にひろげる」という柱のもと、co-creation(共創)の考え方や実践例を、県内の他地域へ積極的に横展開しています。

 具体的には、沖縄県における移住定住や関係人口創出に資する事業の受託や、沖縄県・おきなわSDGsプラットフォーム事務局が主催する「おきなわSDGsフォーラム」・琉球新報社が主催する「OKINAWA SDGsプロジェクト」など未来志向のネットワークにおける情報発信等を通して、うるま市での事例を共有し、新しい価値創造に繋げていくことを目指しています。

 戦後最初の行政機関が置かれ、戦後復興の起点となったうるま市。
20年以上の歴史を誇る地元の中高生による現代版組踊−肝高の阿麻和利や、エイサーの起源とされる平敷屋エイサーなど、常に新しい物語が生まれる地として、先日は全国初となる「感動産業特区」宣言も行われました。
 
 数を追い求める「来て来て観光」から、関係性を深める「おかえり観光」に変容していく発信源として、SDGsの新しい潮流を、ここうるま市から生み出していきたいと考えています。

一般社団法人プロモーションうるま

所在地:沖縄県うるま市字田場1304-1、1F

電話:098-923-5995

ホームページ:一般社団法人プロモーションうるま (promo-uruma.com)