前編では株式会社大川が取り組むSDGs活動と家具のリサイクルについてご紹介いたしました。後編では、ReOKの工夫されたシステムと株式会社大川の思いをご紹介いたします。
【前編:https://www.okinawa-sdgs.jp/news/3128/】
株式会社大川
社長室室長/総務部部長
松野 憲道さん (写真右)
総務部
比嘉 あずささん(写真左)
■ReOKが楽しい場所になる工夫
家具のリサイクルReOKでは、不要になった家具をただ売る・買うのではなく、お客さまに楽しんでもらえるよう、様々な工夫をしています。例えば、家具を売りたいお客さまに楽しんでいただけるように、ReOKでは「委託代行販売」という販売形態にしています。多くのリサイクル店では「買取販売」であることが多いと思いますが、委託代行販売にすることで、出品する家具の価格をお客さま自身で決めることができ、楽しく出品できると思います。また、自分の家具が売れるかな?どうかな?って売れるまで見守ることができるので、リサイクル店に買い取ってもらって終わりとなるより、物に対する責任を感じると思いますし、それがSDGsの「つかう責任」につながっていると思います。
家具を買いたいお客さまにも楽しんでいただけるように、毎週土曜日はReOK一斉値下げを実施しています。出品された家具は1週間が経過すると30%OFFになり、最大で4週間で60%OFFまでお値下げします。値下げのタイミングを定めておくことで、お客さまが買い時を見定めたり、お客さま同士の駆け引きも生まれたりして、ワクワクしながらお買い物していただけます。また、一斉値下げを実施することで、商品の入れ替えも活発になり、いつ来ても新しい家具が出品されている状態になるので、お客さまの満足度アップにもつながっています。
さらに、ReOKでは、県民のお客さまはもちろんですが、沖縄在住の海外の方も出品するので、他の家具店には置いていないような、お洒落なアンティーク調や特注品と思われるようなデザインの家具など、一点ものの家具も多いです。お目当ての家具を購入されたり、良いものが安くなってないか見に来たり、お宝探しのようなレジャー感覚で来店されるお客さまも多いので、毎週土曜日は、整理券を配布して案内するほど行列ができています。また、一斉値下げは成約率アップの秘訣でもあり、売り手にも嬉しい効果があります。実際に、2023年は99%の家具に次の持ち主が見つかりました。
写真:一斉値下げされた値札が貼られている商品と個性的なデザインの家具
■家具屋としての使命
SDGsの17のゴールの中に「つくる責任つかう責任」があります。ReOKでは、家具のリサイクルを通してこの課題に取り組んでいますが、「売る責任」もあると思っています。多くの家具メーカーではSDGsや持続可能な家具づくりを強く意識して商品を作っており、メーカーが作った家具を仕入れて販売するということは、つくる責任がメーカー側にあったとしても、メーカーが持っているSDGsに対する思いや意識をきちんとお客さまに伝える必要があると思うんです。これが「売る責任」だと思います。
私たちも自社商品には「つくる責任」があるので、SDGs的な視点を取り入れながら商品開発をしています。もちろん、メーカーから仕入れる商品も、同じように考えられてできた商品だと思うので、そこをしっかり伝えて、共感してもらうことが大切だと思っています。長く家具を販売するためには、ただ売るだけではダメ。私たちは、商品開発・仕入れ、販売、そしてその後のことまで考えて提供しないといけないのだと思います。
■変化する時代とニーズ
近年、中古市場はどんどん大きくなっており、ReOKの利用者数も年々増えていて、今後も増えていくと考えています。ReOKがスタートした頃はSDGsという言葉も浸透しておらず、リサイクル店ができ始めて、だんだんとセカンドユーズが受け入れられるようになっていた時でした。その頃のお客さまは、短期間だけ使いたいとか、とにかくコストを抑えて揃えたいという方が多かった。でも、今は、フリマアプリの普及もあり、セカンドユーズが当たり前になっていますし、世の中のSDGsの意識も高くなっています。「捨てようと思ったけど誰かが使ってくれると思って持ってきました」と、SDGsを意識している方もたくさん来てくれたり、家具のリサイクルという目的を理解して購入してくださったり、お客さまの意識も変わったと感じます。小さなことかもしれないけれど、ReOKに来てもらうことで、SDGsを考えるきっかけにはなると思っていますし、お客さまのニーズにもしっかり応えることができていると思います。
さらに、ReOKでは、ご家庭からの家具以外にも、企業や学校、ホテルなどからの出品も多く、オフィスロッカーやホテルの部屋に設置していた小型冷蔵庫などの商品もあります。家庭で使われないような家具でも、起業する方や新しく塾を始める方などがまとめて購入することが多いです。家庭家具だけでなく、さまざまな商品を扱うことで、いろんなタイミングで家具のリサイクルを考えてもらうきっかけになればと思っています。
写真:企業から出品された商品棚とReOKに出品された家電
ReOKでは家具だけではなく、家電や小物も扱っている。
■今後の展望
家具のリサイクルはReOKを中心に行っている取組ですが、もちろんReOK以外の店舗でもSDGsの取組は行っています。ただ、どの店舗で家具を買っても手放す時はReOKでというように、大川全体の取組の受け皿としてReOKがあることで、私たちの家具屋としての使命と、家具を無駄にしたくないというお客さまのニーズに応えることができる。そしてそれを楽しみながら体感してもらえる場所になっているということは、とても良い取組になっていると思います。
これからは、私たちだけが課題解決のために取り組むのではなく、地域課題をお客さまへ発信して、一緒に解決していこうとすることが大切だと思います。環境にいいことだからやりましょう!ではなくて、お客さまのニーズも汲み取りながらビジネスにすることで、本当の持続可能な取組になると思っています。そういう活動を続けていくことが私たちの責務だと思っています。
株式会社大川
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