今回は、沖縄本島で水辺植生や希少種保護、エコツアーや環境教育などを展開しているおきなわ環境クラブの活動をご紹介いたします。
特定非営利活動法人おきなわ環境クラブ
事務局長 立田 亜由美さん
■おきなわ環境クラブについて
おきなわ環境クラブは、「自然と環境の保全は足元から!」をコンセプトに、沖縄の身近な自然環境を楽しんだり、学んだり、保全したりする機会を提供しています。
主に都市部の水辺の環境保全活動をしており、スタッフは5名と少数ですが、スタッフの他にも環境保全のために一緒に活動してくれるボランティア登録者が60名、自然と環境を学ぶ環境学習プログラムのガイドとして登録している方が60名を超えており、たくさんの方々と一緒に活動しています。
■“自然と環境の保全は足元から”
私たちが掲げている「自然と環境の保全は足元から」というコンセプトには、身近な自然に触れることで、環境問題を自分ごととして考えるきっかけをつくりたい、自然を大切に思う人を増やしたいという思いがあります。
私たちが普段活動している場所は、やんばるや西表島などの大自然ではなく、人々の生活の身近にある、都市部の水辺です。身近な自然は私たちの生活とすごく密接に結びついているので、環境問題について考えるきっかけを作りやすいと思っています。例えば、川のゴミ問題は川の近くに住んでいる人々の意識や行動で解決することができますが、海のゴミ問題はゴミの出所が世界規模ととても広範囲なので、自分達だけでは解決するのが難しいのです。さらに、実は、世界全体で見ると、海洋ゴミのうち7~8割は川から流れ出たものだと言われており、川の自然環境を守ることは海の環境を良くすることにもつながるのです。
このように、身近なところから自然や環境問題について考える機会を提供することが、私たちの活動の軸になっています。
■おきなわ環境クラブが取り組むSDGs
私たちは水辺の自然環境保全以外にも、地域づくりや人材育成など、大きく分けて4つの活動に取り組んでいます。
1つ目は「守る活動」です。ボランティアのみなさんと一緒に、漫湖公園などの都市部の水辺にサガリバナなどの在来植物を植樹したり、希少植物の保護を行なったり、埋め立てや護岸工事などで失われた水辺の自然を本来の姿に再生する活動を行なっています。
また、大切な水資源を地域が主体となって保全するための活動も、大学の研究者や地域の方々と協力して実施しています。
2つ目は「学ぶ活動」です。持続可能な生活とは何か、人の暮らしが環境にどんな影響を与えるのかについて考えてもらうため、環境学習プログラムを提供しています。教室での学びだけではなく、実際に自分の五感を使って、自然と人の暮らしの関係性を感じられるように、フィールドワークがメインのプログラムが多いのですが、学校や企業などの要望に合わせた内容に変更することも可能で、地域の公園などでも実施できるプログラムもあります。
3つ目は「作る活動」です。作るというのは地域づくりのことで、集落や公園などに植栽されている「サガリバナ」の観賞会を毎年開催しています。自治体とも協力し、サガリバナをライトアップしたり、ガイドによる解説ツアーをしたり、また、地域の企業や小さなお店にも協力していただき、観賞会当日には出店や販売会も実施して、賑やかな地域づくりを行なっています。
4つ目は「育てる活動」です。身近な自然について、私たちが持っている知見をたくさんの人に共有して、自然を大切にする人が増えてほしいという思いから、エコツアーガイドを養成しています。また、沖縄で培ったノウハウを国際協力に生かすために、JICAの事業を通して、世界の人々と共に地域資源を活用した持続可能な観光について学ぶ機会を提供しています。
写真:那覇市の末吉公園で実施したサガリバナ観賞会の様子と環境学習プログラムの様子
■人と自然が共生するために
私たちは主に漫湖湖岸や漫湖公園などで活動していますが、5〜6年前は、遊歩道に草が生い茂り、川岸に行くとゴミだらけで、環境学習ツアーを実施してもゴミばかりが目立って、自然や植物の話は全然できないほどでした。しかし、今では、自主的に川辺の清掃をしてくれる人や、一緒に花の世話をしてくれる人たちのおかげで、漫湖湖岸がとても綺麗になり、川岸を散歩する人も増えたように感じます。もともと汚れていた川岸も、人の目に触れて、清掃・整備をして、多くの人に使われるようになると、こんなにも変わるんだと驚きました。しっかり清掃して、人が活動する場所として整備することは、そこを利用する人たちのためだけではなく自然の保全にもつながるし、人と自然が共生していく上では欠かせないことだと思います。
また、最近は、環境問題などに関心を持っている若い人も多くて、いろんな世代の人たちと一緒に活動するようになりました。以前は、ボランティア活動というと50〜60代の女性が多かったけれど、いろんな世代の人が入ってくることで、それぞれが持っている情報や経験をお互いに教え合い、とても良い方向に動いていると思います。
実際の活動内容は、草刈りやゴミ拾い、植物を植えることなど、とても地道です。しかし、継続して行うことで自然環境の再生はもちろん、人のつながりもできて、活動もどんどん活発になり、幅も広がっていくので、地道な活動を継続することはとても大事だと思います。
写真:国場川河川敷の散乱ゴミの回収と調査の様子と植樹活動の様子。
※後編記事は10/12の公開を予定しています。
特定非営利活動法人
おきなわ環境クラブ
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