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【事例紹介】「世界一サンゴと人にやさしい村」の持続可能な地域づくり -前編-

REPORT / 2024.01.04

今回は、国内有数の観光リゾート地として人気が高い恩納村のSDGsな活動をご紹介いたします。

恩納村

■恩納村について

 恩納村は、沖縄本島のほぼ中央部西海岸側に位置しており、「青の洞窟」で有名な真栄田岬や県内屈指の景勝地「万座毛」などがあり、これらを含む長大な海岸全域が沖縄海岸国定公園に属してします。また、東側は恩納岳をはじめとする山々に囲まれ、そこから流れる小さな川が40近くあります。

 古くから、山や川、海など、恵まれた自然に囲まれ、半農半漁の静かな村として暮らしてきましたが、国際海洋博覧会をきっかけに、サンゴ礁が広がる美しい海岸線が観光資源として注目され、観光リゾート地として、成長してきました。


■「サンゴの村宣言」からはじまった自然にやさしい地域づくり

恩納村では、2018年に「サンゴの村宣言」を行い、翌年2019年には内閣府から「SDGs未来都市」及び「自治体SDGsモデル事業」に選定されました。

 恩納村の恵まれた自然環境はかけがえのない資源です。特に、サンゴ礁は、漁業や観光業の重要な資源であり、恩納村の大切な宝ですが、近年はオニヒトデの大量発生や赤土等の流出、海水温の高温化によるサンゴの白化現象、オーバーツーリズムなどにより、サンゴ礁が減少していることを受けて、環境負荷が少ない持続的発展が可能な社会の構築に向け、行政・村民・事業者が一体となって、自然環境にやさしい地域づくりを目指すために「サンゴの村宣言」を行いました。

 「サンゴの村宣言」は、サンゴの保全を中心に相乗効果を及ぼし、村内の様々な課題を解決しようとする理念です。SDGsの理念とも共通する点が多いことから、より実行力を高めるために「サンゴの村宣言 SDGsプロジェクト」を推進し、SDGsの達成に向けた優れた取組を行う都市として「SDGs未来都市」にも選定されました。

写真:サンゴの村宣言セレモニーの様子と、「サンゴの村宣言 SDGsプロジェクト」における相乗効果を生み出す各主体の関係図


■恩納村が取り組むSDGs

 恩納村では、村民のみなさんやパートナー企業、村内の学生たちと一緒に、様々な取組を行っています。

恩納村らしい、高付加価値な観光商品の開発
 恩納村では、SDGs未来都市の実現に向けて、「経済、社会、環境」の3つの視点から、地域課題の解決につながる観光コンテンツの開発を目指しています。ダイビングツアーを中心に、恩納村の歴史や文化、自然資源を楽しむことができ、さらに、経済的な付加価値が高く、環境にも配慮した観光の在り方を模索しています。

Honey & Coral Project
 恩納村赤土等流出防止対策地域協議会では、Honey&Coral Projectに取り組んでいます。恩納村をはじめ沖縄県において、農地からの赤土流出がサンゴの減少の一因となっています。そのため、農地の周囲に緑肥等の植物を植えて赤土流出対策をしてきました。Honey&Coral Projectでは恩納村内の農家に養蜂を普及し、採れたハチミツを生産販売することで、赤土流出対策の財源を確保しつつ、地域経済の活性化にも貢献していきます。

サンゴプロジェクト
 恩納村では豊かな漁場を守るため、恩納村漁協を中心に、1969年よりサンゴ保全活動を実施してきました。2006年からは東京都池袋にあるサンシャイン水族館と共同で「サンゴプロジェクト」が始まり、水族館内でのサンゴの常設展示などを行いました。さらに、サンシャイン水族館でサンゴを育て、殖やしたサンゴを海へ還す「サンゴ返還プロジェクト」、沖縄の海でサンゴを育て、産卵によりサンゴを増やす「サンゴ礁再生プロジェクト」なども行っています。それらの取組を通して、遠く離れた東京でもサンゴについて興味を持っていただき、サンゴ礁が抱える問題について考えてもらうきっかけにもなっています。

写真:Honey & Coral Projectの様子と、サンシャイン水族館で展示されているサンゴ


■サンゴの保全で変わる「経済」と「社会」

 恩納村では、「サンゴの村宣言 SDGsプロジェクト」として、サンゴを中心にSDGs活動に取り組んでいますが、サンゴをはじめとする豊かな自然環境の保全は、「環境」はもちろん、「経済」「社会」の分野にも相乗効果をもたらすと考えています。
 例えば、「経済」の分野では、サステナブルツーリズムの実現や観光産業の高付加価値化に繋がり、その収益を村民に還元する仕組みを構築することで、地域経済活動の活性化など「社会」の分野の取組に繋がります。恩納村ではそのほかにも雇用の創出やダイバーシティを推進することで、誰もが活躍できる環境づくりを目指す取組を実施しています。また、村民や将来世代への啓発活動を行うことで、全員参加型社会の実現を目指しています。

このように、恩納村は、SDGsの枠組みを用いて地域資源を活かし、「経済」「社会」「環境」の3つの取組が連携することで、相乗効果を生み出すことを目指しています。

※後編記事は2024年1月14日公開を予定しています。

恩納村

所在地:〒904-0492
沖縄県恩納村字恩納2451番地

TEL:098-966-1200

HP(https://www.vill.onna.okinawa.jp/