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お知らせ

【事例紹介】未来へつなぐものづくり、豊かな海を守る活動に貢献

REPORT / 2024.03.19

 今回は、道路の側溝など生活に身近なコンクリート製品や、公園にある赤瓦の東屋(あずまや)、琉球石灰岩風のベンチなどを製造している、「株式会社 沖坤(おきこん)」の活動をご紹介いたします。

株式会社 沖坤
 代表取締役社長 宮城さん
      専務 比嘉さん
     取締役 比嘉さん
   製造部部長 新垣さん
 事業開発部部長 安里さん

株式会社 沖坤について ~沖縄の素材に注目したものづくり~

 株式会社 沖坤は、1973年の設立以来、コンクリート二次製品をはじめ、公園施設関連資材の製造・販売・施工などを行ってきました。また、端材等リサイクル材の積極的活用や、沖縄の地場産材を生かした製品づくりに取り組むなか、2004年に、「この島の素材に光を与えたい」と、風化した珊瑚や、廃棄赤瓦、国頭マージと呼ばれる赤土などの自然素材から、独自の技術により、環境にも身体にも優しい沖縄発のグリーン建材「サンゴの建材」を開発しました。

 そして2024年現在、設立51年目を迎え、持続可能な社会に向けて技術力とアイデアで、沖縄の海を守り、生命を育むものづくりに取り組んでいます。

ulu#353196 ~サンゴのサイクルで未来へつなげる~

 「ulu(うる)」とは、沖縄の言葉で「珊瑚(サンゴ)」のこと。株式会社沖坤では「使って、育てる」を合言葉に、風化造礁サンゴ(※)の特性を活かした新しい建材を生みだし、その収益の一部をサンゴの養殖を支援する活動に提供する他、技術面からも沖縄の海を育てる活動を行っています。

※ 風化造礁サンゴとは、サンゴ礁が自然の波の作用で破壊され、長い年月をかけて水洗いと破砕を繰り返し、サンゴの骨格のみとなり砂礫化して海底に堆積したものです。株式会社沖坤では、許可を受けて沖縄の海から採取された風化造礁サンゴを使用しています。

【枯れたサンゴの再利用から生まれた建材】

 風化造礁サンゴを主原料に、塗り壁や内装材などに使用される「ulu #353196サンゴの建材」を製造、その収益の一部をサンゴの養殖を支援する活動に提供するなどサンゴの保全にも役立てています。

写真:「ulu #35319サンゴの建材」を使った内装

 風化造礁サンゴは微細な空孔をもった多孔質物質で、臭いや湿気の吸着除去に効果があります。原料由来のやさしい風合いが、自然に包まれるようです。

【サンゴの養殖を支える技術】

 サンゴの養殖に欠かせない基盤材を漁業協同組合等へ提供しています。独自の固化技術でセメントを使わない環境にやさしい製品を使用しています。

 沖縄県を代表する蒸留酒「泡盛」の蒸留粕はアミノ酸を豊富に含み、一部は健康食品などに活用されますが、その多くが廃棄されてきました。この泡盛蒸留粕を活用した固化技術を産学連携にて開発。泡盛蒸留粕とサンゴの砂、海洋由来のマグネシウム等を原料とする、セメントを使用しない環境にやさしいサンゴ養殖基盤材が生まれました。この技術は、魚が集まり住み家となる魚礁にも応用されています。

写真左:泡盛の蒸留粕から生まれたサンゴのスティック、写真右:漁業者等が自ら設置できる小型で海にやさしい漁礁

【サンゴ増殖に取り組む漁協との連携】

 サンゴ礁のまわりには、豊かな生態系が育まれることが知られています。サンゴを増やすことは、漁場を再生することにも繋がります。サンゴ保全の活動を加速させるため、関心をもってくださった方が参加しやすいよう、国頭漁協協同組合と連携しクラウドファンディングも実施しました。養殖したサンゴの様子はInstagramにて発信しておりますので、是非ご覧ください。

写真左:国頭漁協協同組合と連携しクラウドファンディングによるサンゴの保全活動を実施、写真右:NPO法人アクアプラネット主催のイベントにサンゴのスティック100本を寄贈

そして今、新しい社会課題に挑戦  ~海の豊かさから、陸の豊かさへ~

 島の恵み、豊かな素材に光を当て、開拓者の精神で常に新しいことにチャレンジしつづける株式会社沖坤では、現在、コンクリート製品の製造に伴って発生する廃棄物を活用し、新たな社会課題の解決に取り組んでいます。

 ミキサー車などを洗浄した際に発生する生コンスラッジ(残生コン)と呼ばれる汚泥は、一般的には産業廃棄物として処分されますが、これを中性化処理することで無害かつ栄養成分のない防草効果の期待できる土になります。これに着目し、雑草の管理に困っている道路沿いの緑地帯などに利用する実証試験を進めています。本来廃棄物であったものが有益な資源となり、地域の困りごとを解決する新しい技術に、実証段階から問合せも多数いただいております。

写真:生コンスラッジの再生資源中性化処理土防草効果及び緑化実証試験の様子(左から、処理区(試験開始時点)、処理区(試験開始から6ヶ月経過)、緑化区(雑草の繁殖を抑えるためヒメキランソウを植栽))


防草と緑化を同時に行い、社会課題を解決しようとアイデアが詰まっています。実証試験では、除草の手間とコストが大幅に軽減されています。

沖縄の豊かな未来づくりに貢献する企業へ

 人々の暮らしや交通インフラを支える製品づくりから、培ってきた技術力をベースに海洋環境の保全・再生・創生を目指し取り組んできました。

 絶えず現状に満足することなく、環境変化を意識し未来を見据え、自我作古の精神で「島ぬ風景」を意識した、未来へつなぐ、ものづくりへの挑戦はつづきます。

株式会社 沖坤

所在地: 本社 〒905-2173 沖縄県名護市字久志521番地6

HP: https://www.okikon.com/