ゼロゼロ地域創生PT
合同会社琉人 玉城さん
「おきなわSDGsプラットフォームプロジェクトチーム」のうち、「ゼロゼロ地域創生プロジェクト」の取組をご紹介します。
沖縄県において、食品ロスは6.1万t(全国522万t)とまだおいしく食べられる食品が廃棄されている一方で、生活困窮世帯が多く子供の貧困率は29.9%(全国16.3%)と、全国に対して約2倍の開きがある状況です。
食品ロスと生活困窮は別の課題として考えられることが多いですが、私たちは、まだおいしく食べられる食品が大量に廃棄されている一方で、満足に3食食べることのできない多くの子供たちが存在することに、強い憤りを感じています。
この社会の不均衡を是正するべく、NPO法人日本もったいない食品センターの主幹のもと、合同会社琉人が運営する食品ロス削減ショップecoeat(エコイート)では、食品ロスになる可能性のあった食品を企業より買い取り店舗にて販売し、その利益を活用して困窮者支援等の社会貢献活動と、店舗や勉強会、講演会等における啓発活動を公的資金に頼らず行っています。
買い取り販売する食品は、主に食品メーカーや卸売業、小売業事業者が扱っている食品のうち、「規格外」「賞味期限」「販売期限」といった理由で、「まだおいしく食べられるのに廃棄される可能性のあった食品」です。これらを企業から買い取りecoeat店舗で販売し、その利益の一部を使って生活困窮者支援の費用に充てています。また、企業から出る事業系のロスだけではなく、家庭からの食品ロスについても削減を図るために、ecoeat店舗では来店されるお客様に対して賞味期限等の正しい知識を伝えています。その他にも、小中学校等の教育機関での勉強会や、学生が学内等に臨時で設けた店舗にてお客様とコミュニケーションを取りながら食品の販売を行う「ミニecoeat」の取組等により、ecoeatの活動内容や賞味期限等の知識について普及啓発を行っています。
本取組は、沖縄県が推進する「おきなわSDGsプラットフォームプロジェクトチーム」に認定(ゼロゼロ地域創生プロジェクト)されています。プロジェクトチームとして、ecoeatを中心に企業や行政と連携することで相乗効果を発揮し、食品ロスゼロと生活困窮者ゼロの地域を目指しています。
ロス食材の県内引き取りと食糧支援
沖縄県内のecoeatはエコイート那覇与儀店(沖縄県那覇市与儀368-17)の1店舗であり、今後出店エリアを吟味してさらに出店して行く予定です。エコイート那覇与儀店での、ロス食材の県内引き取り量は、2021年14.82t、2022年22.73t、2023年30t、と年々増加しています。私達の食品ロス削減の総量は未だ全体の0.1%にも満たない状況です。それでも年間で全国では、約5千世帯、県内でも約300世帯の支援がecoeatの営業活動を通してできています。今後は、さらに多くの県内企業・団体にecoeatの取組内容や目的を理解いただき、ロス食材の県内引き取り量を増やしていきたいと考えています。
食料支援については、2023年は228件行いました。同年7月〜10月には、那覇市と与那原町で約200世帯に支援を実施しました。那覇市にはお米2000㎏(5㎏の米400袋)を寄贈し、那覇市から感謝状をいただきました。
生徒と連携したミニecoeatの取組
南風原町立南風原中学校の生徒と連携し、南風原中学校の総合文化発表会にて研究発表と共に、校内における「ecoeat模擬店」の出店が実施されました。生徒たちは、事前に調べ学習や勉強会等により知識をつけ、当日は賞味期限等の正しい知識を伝えることで家庭からの食品ロス削減を訴求すると共に、食品の販売を行いました。店舗運営について買い物かごやレジ袋、レジの仕組み等、独自の工夫を実施いただき、啓発活動についてもチラシ1000枚を配布することができ、「ecoeatの認知の向上」に関しても良い成果となりました。生徒と連携してecoeatの取組を行うことで、生徒自身に取組内容を理解いただくとともに、より多くの人に周知することができていると考えています。
また、2024年9月には、沖縄県の県民参加型イベント「みんなでSDGs!」において実施された、「学生×企業 おきなわSDGs協創プロジェクト」に参加しました。沖縄尚学高等学校の生徒と協力して、沖縄尚学高等学校のオープンキャンパスで食品ロスの現状と子どもの貧困に関するパネル展示と「ミニecoeat」の出店が行われ、来場する多くの学生と保護者に食べ物をむだにしない知恵と行動を発信しました。さらに、生徒たちと㏚動画を作成し、沖縄尚学高等学校の生徒と保護者へ広く周知し、食品ロスの削減と支援の輪の拡大に取り組みました。
左図:南風原町立南風原中学校でのecoeat模擬店の様子
右図:沖縄尚学高等学校でのミニecoeatの様子
ゼロゼロ地域創生プロジェクトチームの拡大に向けて
プロジェクトチームは原則1年間の活動ですが、ゼロゼロ地域創生プロジェクトチームは令和7年度以降も継続して取り組んでいく予定です。ロス食材の県内引き取り量を増やしていくために、特に、食品ロス食材のecoeatへの販売に協力いただける、卸売り企業(組合)・食品メーカー等の団体を中心に、一緒に活動していただける「ゼロゼロ地域創生プロジェクトチーム」のメンバーを募集しています。(その他にも、教育機関や学生団体、地方自治体、社会福祉協議会、ショッピングモールを運営する企業等もメンバーとして募集しています。)
メンバーとして参加し連携いただける企業・団体にとっては、社会貢献ができること、SDGs(持続可能な開発目標)に取り組む企業としてのブランドイメージ向上、CSR活動の強化、新たなビジネスチャンスの創出等、多くのメリットがあります。私たちと一緒に社会課題の解決に取り組むことで、企業としての価値も高めることができると思います。
参加メンバーの皆様と連携を深め相乗効果を発揮し、単独では成し遂げることのできない、食品ロスゼロと生活にお困りの方ゼロという社会問題の解決に向けて協力の輪を広げて行きたいと考えています。
興味がある団体の方は、ぜひ「おきなわSDGsプラットフォーム」のホームページから、参加希望を申請のほどよろしくお願いいたします。
合同会社琉人
所在地:エコイート那覇与儀店 沖縄県那覇市与儀368-17
ホームページ:https://www.mottainai-shokuhin-center.org/store